February 20, 2012
うわばみ
日曜の昼前に、どこからともなく聞こえる懐かしいラッパの音。
テレビの中の音かと思っていたら、窓から豆腐屋さんがゆっくりと歩いていく姿がみえました。
すみませ〜ん!
うちの奥さんはああいうのを放っとけないタイプです。
窓から声をかけて、玄関から飛び出して行きました。
珍しいなと思いましたが、どうやらそれもそのはず、わざわざ静岡県から無作為に場所を選んでやってきたそうです。
静岡県の三島市の豆腐屋さん。
で、たまたま、我が家のご近所が選ばれたようです。
なぜ、わざわざ。。。
ダーツの旅か?
で、奥さん、豆腐を買ってくるかと思いきや、生湯葉持って帰ってきました。
値段聞いてびっくり。
高っ! ・・・ 出張費込か?
ん? 味?
スーパーのと変わらないような。。。 ま、ご縁ということで。 ?
湯葉と言えば、いつも思い出すことがあります。
湯葉は、ご存じのとおり、加熱した豆乳にできる膜。
それをすくって食べるわけです。
「すくう」は英語で「skim」。
逆に、濁り酒なんかの粕をよどませて、上の澄んだ部分をくみ取ることを「上澄み(うわずみ)をすくう」なんて言ったりします。
これを私の父親は、ずっと「うわばみをすくう」と言い間違えていました。
「うわばみ」とは、大蛇とか、大酒飲みとかの意味があります。
私も言葉を知らないゆえ、彼の言葉が間違っていることに気づくまでに随分時間を要しました(笑)。
「自分はうわばみをすくって生きている」
親父がよくこう言っていたのを思い出します。
つまり、みんなが働いてくれて得られた成果の上澄みをすくわせてもらっている、ということをいつも私に言っていたわけです。
言葉は少ない人でしたが、そこに彼なりの社員さんたちへの「感謝」を感じました。
いま、病院のベッドで寝たきりの彼は、全く言葉を発することはありません。
「うわばみ」だったのが祟りました。
やべ、オレもか?
言葉が間違っていようがなんだろうが、自分を表現できるということは素晴らしいことです。
今、それが親父にはできません。
「上っ面をすくう」という言葉は、どちらかと言えば、あまりいい意味で使われません。
本質に到達する前に表面上だけで、つまり、上辺だけで判断したり、事を済ますときに用いられる言葉です。
Skimmed Milk
脱脂粉乳は栄養いっぱい、いいとこどり。
「上面」は表層、「上澄み」は本質。
本質には感謝が宿る。
そんなことを教えてくれた親父。
今、彼は私にとって感謝の塊。
ようやく、「うわばみ」から「うわずみ」へと進化しました(笑)。

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