October 22, 2009

つながりの中で生きる

 

我が家の近所に、ディナータイムや土日に訪れると、不思議な空間になっているうどん屋さんがある。

 

オーナー家の自宅へと変貌してしまっているのだ。

 

そんなときに店に入ると、お客さんは、他人の家にお邪魔してしまっている気持ちになってしまう。

 

他の人は分らないけど、少なくとも私はそう感じる。

 

店内そこそこ広い店構えだ。

 

頻繁に行くわけではないが、随分前から知っていて、何度か訪れているお店。

 

まだ小さなオーナー家の子供たちは、店中をチョロチョロと走り回り、そしてお母さんは、店内の座敷の一角を陣取って、その子供たちにご飯をあげながら、自分も一緒にお昼御飯や晩御飯を食べている。

 

そして、その食事中に子供たちがチョロチョロするもんだから、お母さんはいつも

 

『こらぁーっ』  『座りなさーいっ』

 

などと叱りながら、大きな声を出している。

 

食事中というのはもちろん≪お客さんの≫ではなく、お母さん自身含め≪オーナー家の≫食事中ということだ。

 

先日行った時は、我が家が注文した料理の調理と配膳をし終えたら、旦那さんまでもが一緒に食べ始めた。

 

我が家の子供たちと同世代の子供がいるということは、夫婦の年齢は、おそらく私達夫婦と一緒ぐらい、もしくは少し下ではないかなと推測されるが、夫婦そろってなんだか老けて見える。

 

やけに疲れてる感じがするし、それに奥さんのまるで化粧っ気のない感じと猫背が気になる。

 

そして商売屋の奥さんとは思えないほど無愛想で接客もひどい。

 

こちらが『すみません』と呼んで返事もなければ、注文を復唱することなどまずない。

 

食べかけのご飯を奥歯に詰まらせながらモゴモゴ何かしゃべっている時もある。

 

店の中には子供の遊び道具や三輪車などが置いてあり、お店の入り口に布団を干しているときもある。

 

なんてワイルドなんだろう・・・

 

だからか分らないが、店がきたない。

 

ホコリはすごいし、何より便所が汚い。

 

飲食店のみならず、接客業としてこの有様は致命的だ。

 

しかし、数年前はこんな状態ではなかった。

 

旦那さんとおそらく旦那さんのお父さんと思われる人が二人で調理していたんだけど、何らかの事情でそのお父さんが最近いない。

 

リタイヤか、御病気か、もしくは他界されたか。

 

旦那さんのお母さんと思しき人が忙しい間の小1時間程度アルバイト的にお手伝いに来る。

 

先日、行った時、お母さんは来てから30分程度で帰って行った。

 

なんでお母さんだと分るのかと言えば、本人にわざわざ聞いたわけでも、私が仲が良くて一家の事情通でも何でもなくて、単純に旦那さんが『おっかー』と呼んでいたからだ。

 

で、そのお父さんらしき人がいなくなったあたりから、店の雰囲気が変わってしまった。

 

そしてお客の数もまばらになってしまった。

 

 

じゃ、なんでそんな店に行くのか?

 

それは我が家が子供連れだからだ。

 

店の家族がそんな状態でいるのに、まさかお客に『子供を静かにさせてください、困ります』だとか、『お子さんがチョロチョロしていて他のお客さんに迷惑がかかりますから、目を離さないでくださいよ・・・』などとは口が裂けようが曲がろうが、絶対に我々に言えないと思うからである。

 

だから、我が家のような≪暴れん坊主≫を抱える立場としてはとても気楽に行きやすい店なのだ。

 

もちろん味が悪くない、いやひどくないのは大前提だ。

 

多少ぐらいは許す。

 

で、そのお店は平均レベルはクリアしているため、全く問題ない。

というよりも重宝している。

 

逆にお客さんが少なくて空いていることもスバラシイ。

 

だから、衛生的かそうでないかは、もうこの際気にしないことにする。

 

だらしないのはお掃除担当の奥さんだけで、旦那さん担当の厨房は衛生的に保たれている可能性も捨てきれない。

 

ただし、そんなことを言っている時点で職人レベルならまだしも、経営者としては確実に落第ではあるけどね・・・

 

ま、なんにしても、他のお客さんには気を使うけど、店の人にそんなに気を使わなくても大丈夫であるというところが、我が家のニーズには合っているわけだ。

 

でも我が家のようなお客は稀なケースでマジョリテイではない。

 

 

で、今度は別のうどん屋さんでの出来事。

 

店主の奥さんと思われるちょいと小太りな方が座敷のほうへ座った私たちのところへ注文を取りに来てくれた時のこと。

 

座敷同士を仕切る木製のパーテーションにいつの間にか次男坊がぶらさがってしまっていた。

 

それを見た奥さんが一言、

 

『折れるかもしれんでやめてよ〜』

 

と、まだ言葉もろくにしゃべれんようなチビを相手に注意しつつも、明らかに我々親に強烈にプレッシャーを与えながら、少々苛立ち気味の声でおっしゃった。

 

私たち夫婦はその後、もう子供たちから全然目が離せない。

 

あのオバハンの気に触るようなことをするんじゃないかと気が気じゃない。

 

子供たちは、ちょっとした隙に何かをしでかすため、私の目は鉄腕アトムのサーチアイで、嫁さんの目はドラえもんの赤外線アイのようになっていたと思われる。

 

だけど、そのお店の料理の味は悪くない、いやむしろウマイ部類に入るのに、そんなことばかりが気になっておいしく感じない。

 

子供もなんだかそんな親の空気を察知したからか、ぐずるし、余計に落ち着きがない。

 

そしたら、今度は私が子供達のそんな姿を見て、ますますイライラして仕方がなかった。

 

なんという悪循環だ。

 

帰りの車の中で、あの奥さんの雰囲気と接客で、お店は損してるだろうね、というような話を嫁さんとした。

 

嘘でも 『ボク、危ないからやめようね♥』 とか、 『お子さん大丈夫ですか?お母さん、危ないですよ(^-^)』 なんて言ってくれれば、親もピリピリとした嫌な気分になることもなく、子供に注意することもできて、もう少しうどんの味もおいしいものになっただろうにね・・・

 

最終的には、あの人の顔が怖いとか、オーラではなくて邪気が出とるわ、みたいな話にまでなってしまった。

 

しかし、小さな子供連れで、気兼ねなく行くことのできるお店のなんと少ないことか。

 

小さな子供のいる家庭はテーブル席よりも、お座敷のある店がいいし、ましてやカウンター席しかないような店になど行けるわけがない。

 

だから、うどん屋さんのようなお店に絞られていく。

 

じゃ、家で食えよ、とおっしゃりたい気持ちも分かるけど、各家庭には、それぞれに事情というものもあることだし、オクサンたちもたまにはお休みをいただきたいだろうということで、その辺は御愛嬌でスルーしてくださいな。

 

このうどん屋の奥さんのような人は、子連れが嫌いだとか、子供が嫌いだとかということだけではなく、基本的には気遣いができないということであって、おそらく大人だけで食べに来てくれたお客さんに対しても、何かしらのトラブルが起きてしまう可能性が他の人が働くよりも多くなってしまう気がするし、お客さんに対して、不快な印象を与えてしまう可能性も高いんだろうなと思ってしまう。

 

我が家にとっては、もはやそのお店のことはどうでも良い。

次に外食する際の選択肢にその店が入ることはおそらくないだろう。

 

だからこそ、身内の店員というのは、このような状態に陥りやすいため注意が必要だ。

 

身内だと厳しく注意ができなかったり、他店では当たり前であるはずの接客ができなくなったり、そして、それが恒常化することによって、感覚が麻痺し、味はそれほど悪くないのにも関わらず、原因も分からないまま、なぜか客足が遠のいていくという現象が起きてしまうという可能性がある。

 

接客業は口コミの怖さを知るべし。

 

それにだいたい悪い噂は良い噂の数倍早いスピードで世間に浸透していく。

 

人によっては、良いお店、ステキなお店を自分だけが知っているのだという優越感に浸りたい人もいるだろうし、逆にネチッこくておしゃべりな性格で、いつまでも自分のされた接客態度や商品の質に不満を持ち続け、会う人会う人細菌をまき散らすように言いふらす人だっている。

 

どんな商売でも、リピートしてくれるお客さまこそ大事にしなくてはならない。

 

そのために何が必要になるのか、反面教師として二軒のうどん屋さんを例にあげてみた。

 

どちらのうどん屋さんも、今のままでいれば、これからお客さんが間違いなく減ることになるのは明白なわけだけど、前述した通り、私は先にあげたお店には長生きしてもらいたいと思っている。

 

ただし、チビ助どもが落ち着いてくれるまでの数年間という期限付きで。

 

 

顧客不在の経営。 売り手の論理で物は売れない。

 

この景気で、当然ながら影響を受けている外食産業。

 

外食産業のみならず、全業種、全業態に渡って、わが社だって例外なく、人間は感情の動物で、しかも人間同士の関係やつながりの中でしか生きていくことのできないことをきちんと理解した上で、自社の強みを生かす努力をしていかないと、確実に世の中から淘汰されるであろうということを各々が再認識しなければ、今後生き残れないステージに、もはや突入していることは間違いないと思う。

 

だからこそ、特につながりや、リンクした関係というものを大事にしなければならないことに早く気付いて、その輪を断ち切らないようにしなければならない。



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